皆さんいかがお過ごしですか?
夏を満喫しておりますでしょうか? 私は暑い夏が大好きです。 梅雨になると蛙が大合唱をし、それが梅雨明けとともに静かになると今度は蝉の大合唱が始まる頃になるとなんだかワクワクしてくるのは私だけでしょうか? しかし夏が苦手な方もたくさんおられることでしょう。 特に苦手な理由に夏バテや食欲減退の問題があります。 テレビや雑誌ではこの時期お決まりの「夏バテ防止」だの「スタミナ料理」だのと、これでもかと言わんばかりにこの手の文字が散見されます。 ところで一般的に夏バテと言えば ● カラダが重だるい・全身の倦怠感 ● ヤル気が出ない・無気力 ● 食欲がなくなる ● 下痢・便秘 ● イライラする ● カラダが熱っぽい・のぼせ ● めまい・立ちくらみ ● 頭痛 ● むくみ などでしょうか。 またこれらとは別に熱中症という問題も夏になると起きやすくなります。 とくに体の調節機能が未熟な幼児は、脱水症状を起こしやすくなります。お年寄りは暑さによって体温が上がって、熱中症(日射病と熱射病)を起こし、衰弱しやすいので注意してください。 熱中症についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。 ではなぜ夏バテと言われるこのような症状がみられるようになるのでしょうか? その要因の一つとして一般的によく挙げられるのは、水分とビタミン、ミネラルの不足です。 暑いときに私たちの体は、汗をかいてそれが蒸発することで体温を下げようとします。汗には水分だけでなくビタミンやミネラルも含まれており、それらが排出されることで脱水状態になってしまいます。さらに冷えた清涼飲料水ばかりを飲んでいると、胃腸が冷やされて消化能力が落ち、必要な栄養素が吸収できなくなることがあります。また、さっぱりした食事を選んでそうめんなど冷たい麺類ばかりを食べていると、ビタミンやミネラルが不足しがちです。 また冷房とった環境温度の影響も大きくかかわっていると言われています。 その代表的なものが、室内外の温度差です。 暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来することで、自律神経のバランスに乱れが生じるといいます。自律神経のなかでも副交感神経は、体温の維持や内臓の働きを調節します。特に脳の温度は、暑い屋外でも涼しい室内でも約37度になるよう、自律神経によって一定に保たれます。それだけ夏は、体温調節のために自律神経が働いているわけです。自律神経を管理しているのは脳自体です。そのため、脳がエネルギーを使いすぎ、疲労してしまうことも夏バテの原因だといわれています。 こういった状態が夏バテの主な原因と、まことしやかにいわれてきました。 そこでスタミナ不足にならないようにがっつり食べようという安易な発想が生まれるのでしょう。 しかし哺乳類が日に何度も食事を摂るのは食べたものを消化分解し、その栄養分子を酵素の触媒によって化学反応を起こし代謝を行なうためなのですが、その酵素が触媒として100%作用するためには体温が37度前後が最も効率良く化学反応を起こせるのです。逆に言うと体温を外界の環境に頼っていて自分で体熱を作らない爬虫類などは産熱の為のエネルギーが要らないので、食事は少なくてすむのです。彼らは環境温度が高い時は代謝が活発になり、低い時は代謝が落ち活動が鈍くなり冬眠せざる得なくなるのです。実際動物園で一番餌代が掛からないのはせいぜい1週間に1度餌を与えればよいワニやニシキヘビなどだそうです。 ですから熱帯に棲む爬虫類は1年中活動しますが、日本のように冬という季節がある国に生息する爬虫類は全て冬は代謝が行えないので冬眠という手段をとり冬を乗り切ります。 中には哺乳類でも熊やウサギなどのように食べ物の少ない冬をやり過ごすために代謝を落とし冬眠するものもいます。 この事からも分かる通り、夏は気温が高くなり昨今はヘタをすると気温が体温を超えてしまうので、身体としては産熱の必要性が低くなり、逆に冷却の必要があるので、代謝を落として産熱を下げ、皮下直下の静脈を拡張させ深部の熱を血液によって体表に移動させ、発汗して蒸発させることにより気化熱として熱を捨てているのです。言わば冷やそう冷やそうと努力しているのです。 こう言うと「夏は熱を生産する必要性が低くなるのでエネルギーもたくさんは要らないというのは理解できた。でも栄養を摂らないと身体が動かなくなるのでは?」と思う人もいるでしょう。 しかしダイエット目的で運動をしても、なかなか思ったように痩せないという経験をしてる人は多いかと思います。その理由は実は運動は思っているほどエネルギーは消費しないという事実です。ですから2~3週間絶食しても健康体の人なら問題なく動けます。いや一ヶ月は大丈夫でしょう。 しかし、もし雪山で遭難し食べ物もなく体温が奪われる状況であれば一日ももたないといったことになります。あっという間に産熱作業にエネルギーを使い果たしてしまうからです。 要するに人間にとって食事というのは主として体温を維持し効率よく代謝を行うために摂り続けるのであって、決して身体を動かすことを主に摂っているのではないのです。 ですから夏は体温を作るのに四季の中で一番エネルギーの要らない季節なのです。 そんな時期にやれ夏バテ防止だ、スタミナ付けなきゃ!などと食べていれば、エネルギーが過剰になり、消化器にも負担がかかるのです。 ここでまた疑問に思う人がいることでしょう。「でもエネルギーって多い方がいいんじゃないの?」と。 身体は常に平衡運動を行っています。平衡運動とは言うなればバランスを取っているという事です。冷えれば発熱して温める、悪いものを食べれば吐く或いは下痢して出す、生理学でいうところのホメオスタシスというやつです。恒常性の維持です。 エネルギーが多い(余剰)ということは摂取量と消費量の帳尻が合っていないということ、即ちバランスを崩していることになります。 もしエネルギーが余って過剰になった場合、身体はどのように対処するのかというと、眠らないことで消費するか、それでも余れば消耗性の病気という形で消費するしかなくなるのです。 ちなみに整体では不調の一番の原因は「食べ過ぎ」と捉えています。 現代病の多くが実は食べ過ぎによるところが大きいのです。これについては回を改めて語って行こうと思います。 で、話を夏バテに戻しますが、夏バテしないようにと無理して食べれば食べるほど消化器に負担が掛かり、夏バテに拍車が掛かるのです。 夏に食欲が減退するのは、身体が「もうこれ以上エネルギーを摂取してくれるな!」と言っているのです。 実は夏こそ腹八分目を心がけるのが正解なのです。 |